読 書
私の本棚から……読了後、心に残った本
 

■「苦役列車」(新潮社)西村賢太
■「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」(新潮社)西村賢太
■「悼む人」(文藝春秋社)天童荒太
■「失われた医療先進国」(講談社)岩本裕・NHK取材班
■「日本のがん医療を問う」(新潮文庫)NHKがん特別取材班・岩本裕
■「朽ちていった命」〜被曝治療83日間の記録〜(新潮文庫)NHK「東海村臨界事故」取材班・岩本裕
■「ヒーローの声」(角コミ)古谷徹
■「朗読のススメ」(新潮文庫)永井一郎
■「小林夏冬 第三句集」(喜怒哀楽書房)小林夏冬
■「高橋和己の思い出」(構想社)高橋たか子
■「高橋文学の徹底的分析」(芳賀書店)高知聰・他
■「捨て子物語」(足立書房)高橋和己
■「少年は見た」(新評論)佐藤和明
■「表層生活」(文春文庫)大岡玲
■「阿片王」(新潮社)佐野眞一
■「太平洋戦争と新聞」(講談社学術文庫)前坂俊之
■「永遠の仔」(幻冬舎)天童荒太
■「東京タワー」(扶桑社)リリー・フランキー
■「未青年」(新潮社)井上光晴
■「シャトウルージュ」(文芸春秋)渡辺淳一
■「あやかしの鼓」(三一書房・夢野久作全集1)夢野久作
■「夫人探索」(三一書房・夢野久作全集1)夢野久作
■「いなか、の、じけん」(三一書房・夢野久作全集1)夢野久作
■「人の顔」(三一書房・夢野久作全集1)夢野久作
■「瓶詰の地獄」(三一書房・夢野久作全集1)夢野久作
■「死後の恋」(三一書房・夢野久作全集1)夢野久作
■「涙のアリバイ」(三一書房・夢野久作全集1)夢野久作
■「押絵の奇蹟」(三一書房・夢野久作全集1)夢野久作
■「すくらっぷ館」 旅と芝居と人と(審美社)北川登園
■「終幕の思想」(白水社)北川登園
■「職業、寺山修司。」(春日出版)北川登園
■「父のカーテンコール」(新評論)佐藤和明
■「通化事件」(新評論)佐藤和明
■「四月の風見鶏」(文芸春秋)渡辺淳一
■「わが重巡「鳥海」奮戦す」(光人社)諏訪繁治
■「善人はなぜまわりの人を不幸にするのか」(祥伝社)曽野綾子
■「未青年」(新潮社)井上光晴
■「英国人写真家の見た明治日本」(講談社学術文庫)H・Gポンティング
■「鉄鎚」(三一書房・夢野久作全集1)夢野久作
■「冗談に殺す」(三一書房・夢野久作全集1)夢野久作
■「一足お先に」(三一書房・夢野久作全集1)夢野久作
■「復讐」(三一書房・夢野久作全集1)夢野久作
■「霊感!」(三一書房・夢野久作全集1)夢野久作

 
 
■「失われた医療先進国」(講談社)岩本裕・NHK取材班
■「日本のがん医療を問う」(新潮文庫)NHKがん特別取材班・岩本裕
■「朽ちていった命」〜被曝治療83日間の記録〜(新潮文庫)NHK「東海村」
 

●2010年末まで、NHK総合で放送されていた「週刊こどもニュース」のキャスターを務めておられた岩本裕さんの上記三作は、集められた豊富なデータや証言をもとに、人の生命の尊厳に直接関わる医療現場の問題点に、鋭くメスを入れた渾身のルポルタージュです。

その根底に流れる重大かつ緊急な問題提起は、問われるべき政治責任、見直されるべき医療体制、急がれるべき法整備にまで言及し、読了後「一人でも多くの人に読まれるべき著書」と強く感じさせられました。

岩本裕さんとNHK取材班により制作された番組「NHKスペシャル」などが、岩本さんの専門分野である医療に関する造詣、卓抜な筆力、構成力、分かりやすい解説で、さらに優れた文字媒体として結実したことに拍手を送りたい気持ちになりました。記者、解説委員、「週刊こどもニュース」キャスターといった岩本さんの経歴がいかんなく発揮された、という感じですね。「ギャラクシー賞年間優秀賞」、「文化庁芸術祭優秀賞」、「モンテカルロ国際テレビ祭ゴールドニンフ賞」など数々の受賞も頷けます。おススメです!


 
■「少年は見た」佐藤和明

●若い人達で「通化事件」を知る方は少ないと思います。朝鮮との国境沿いにある、旧満州通化市。日本本土を守るために関東軍が最後の決戦場にしようとした山あいの静かな街です。日本が戦争に負けてから、日本人たちは祖国日本に帰ることだけを夢見て生きていました。

日本の敗戦が決定してから(既に決定していたにもかかわらず)半年後に起こった、このあまりにも無謀な反乱によって、何の罪もない人たちまでが逮捕され、きびしい拷問を受け、混乱のなかで銃殺された。その時を、年端もいかない少年が見ていた。その少年こそ著者自身、ドキュメンタリーである。

昭和史を紐解く過程で、松本清張、保坂康正、佐藤和明、佐野眞一、児島襄といった作家達の昭和史観と出会いました。中で、とりわけ興味をひかれたのが、佐藤和明・著「通化事件」でした。続く「少年は見た」は、著者・佐藤さんご自身が少年時代に目撃した「通化事件」であり、創作ではなくドキュメンタリーであるが故に、語り継がれるべき事実の重みを持った力作です。往時から現今までの時を透過して、事実の風化に歯止めをかけ、読者の心を揺さぶります。著者並びに「新評論」の仕事に拍手。保坂康正さんの活動などと共に、極めて意義深いお仕事だと思いました。

 

■「終幕の思想」北川登園

●寺山修司の生き様に向けられた著者の鋭い洞察力は、単に演劇人としての一人の人間の生き様を表出してみせるにとどまらない。「職業・寺山修司」と共に、著者の筆力に圧倒されました。次作が待たれます。